【教育コラム】全国学力調査で見えた、読書・スマホと学力の関係
「本を読む子は、勉強も得意なの?」
「スマホを見る時間が長いと、学力に影響する?」
子育てをしていると、気になるテーマではないでしょうか。
令和8年度の全国学力・学習状況調査では、教科の問題に加えて、子どもたちの読書やスマートフォン等の利用についても調べています。
その結果から見えてきたのは、読書への意識や、SNS・動画視聴に使う時間と、各教科の成績との関係です。
ただし、「読書をすれば必ず成績が上がる」「スマホを持たせなければよい」という単純な話ではありません。今回は、調査でわかったことと、読み取る際の注意点を整理します。
1.読書との関係は、国語だけでなく算数・数学にも
今回の調査では、「読書は好き」と回答した子どもほど、各教科の正答率・スコアが高い傾向が見られました。
注目したいのは、その関係が国語だけではないことです。算数や数学、英語にも同じような傾向が示されています。
「読書は国語のため」と考えがちですが、今回の結果を見ると、読書への意識は、より幅広い教科の成績と結びついていることがわかります。
もちろん、これだけで「読書によって算数や数学の力が伸びた」と断定することはできません。それでも、読書を国語だけの話として捉えないことは、大切な視点といえそうです。
2.「長く読むこと」より「読書が好き」という意識との関連が強い
調査では、「読書時間」と「読書が好きかどうか」の両方について、学力との関連を分析しています。
その結果、今回の各教科では、読書時間よりも、「読書が好き」という回答のほうが、学力との相関が強くなっていました。
例えば、中学校数学の相関係数は次のとおりです。
| 調査項目 | 中学校数学との相関係数 |
|---|---|
| 平日の読書時間 | 0.101 |
| 読書が好きかどうか | 0.240 |
※相関係数は、二つの項目の関連を表す数値です。この場合、プラスの値は、読書時間が長い、または読書が好きという回答ほど、成績が高い傾向を示します。学力への効果の大きさを直接表すものではありません。
また、読書時間が長いほど、必ず成績が高くなるわけでもありません。
中学校数学の平均正答率を、平日の読書時間別に見ると、次のようになっています。
| 平日の読書時間 | 中学校数学の平均正答率 |
|---|---|
| 2時間以上 | 58.2% |
| 1時間以上、2時間未満 | 61.0% |
| 30分以上、1時間未満 | 62.5% |
| 10分以上、30分未満 | 63.4% |
| 全くしない | 54.3% |
この比較では、「10分以上、30分未満」のグループが最も高く、長時間読むグループが最も高いわけではありません。
ただし、ここから「読書は1日10〜30分が最適」と結論づけることもできません。生活習慣や学習時間など、ほかの条件が異なる可能性があるためです。
読書時間を増やすことだけでなく、子どもが読書をどう受け止めているかにも目を向けたい。そんな結果といえます。
3.SNS・動画視聴の時間が長いほど、成績が低い傾向
一方、スマートフォン等でSNSや動画視聴をする時間については、読書とは逆の関係が見られました。
平日の利用時間が長い子どもほど、各教科の正答率・スコアが低い傾向が示されています。
例えば、小学校算数の平均正答率は次のとおりです。
| 平日のSNS・動画視聴等の時間 | 小学校算数の平均正答率 |
|---|---|
| 4時間以上 | 47.7% |
| 3時間以上、4時間未満 | 52.7% |
| 2時間以上、3時間未満 | 57.3% |
| 1時間以上、2時間未満 | 61.0% |
| 30分以上、1時間未満 | 63.7% |
| 30分より少ない | 68.6% |
「4時間以上」と「30分より少ない」のグループでは、平均正答率に20.9ポイントの差がありました。
これは、家庭での時間の使い方を考えるうえで、見過ごせない結果です。
ただし、「SNSや動画視聴を減らせば、その分だけ点数が上がる」という意味ではありません。今回の調査が示しているのは、利用時間の異なるグループ間で見られた差です。
また、この設問では、スマートフォン等を使った学習時間やゲームの時間は除かれています。「スマホを使う時間すべて」と混同しないことも重要です。
4.「スマホを持っていない子」が最も高いわけではない
もう一つ、注目したい結果があります。
小学校算数では、「スマートフォン等を持っていない」と回答した子どもの平均正答率は60.7%でした。
これは、SNS・動画視聴等の時間が「30分より少ない」グループの68.6%を下回っています。
つまり、今回の結果は、「スマホを持たせなければ学力が高くなる」という単純な関係にはなっていません。
さらに調査では、ICTを活用する自信がある子どもほど、各教科の正答率・スコアが高い傾向も示されています。
デジタル機器について考えるときには、持っているかどうかだけでなく、利用時間や、どのように活用しているかも分けて見る必要があります。
5.調査結果を読むときに大切な「相関」と「因果」の違い
今回の結果を整理すると、主に次のことがわかります。
- 読書が好きな子どもほど、各教科の成績が高い傾向がある
- 読書との関連は、国語だけでなく算数・数学などにも見られる
- SNS・動画視聴等の時間が長い子どもほど、成績が低い傾向がある
- スマートフォン等を持っていない子どもが、最も高い成績とは限らない
ただし、これらは「相関」、つまり二つの項目が関連しているという結果です。
「読書が学力を上げた」「SNSが学力を下げた」という原因と結果まで、今回のデータだけで証明されたわけではありません。
もともとの学習意欲、家庭環境、睡眠や学習時間などが関係している可能性もあります。
数字は大切な手がかりですが、数字だけで子どもの学力や生活を決めつけないことも大切です。
読書とスマホを、家庭の時間の使い方から考える
今回の調査から見えてきたのは、「本はよい、スマホは悪い」という二者択一ではありません。
読書については、時間だけでなく「好き」という意識との関連が見られました。スマートフォン等については、SNS・動画視聴に使う時間と、ICTを活用する自信とで、異なる傾向が示されています。
ご家庭でも、
「最近、どんな本に興味がある?」
「動画は毎日どのくらい見ている?」
「睡眠や勉強、遊ぶ時間とのバランスはどうかな?」
と、日々の過ごし方を一緒に振り返ってみてはいかがでしょうか。
zunŌwでも、子どもたちの好奇心を大切にしながら、本やデジタル機器を、自分で考え、学びを広げるために活用していきたいと考えています。
出典・参考
- 文部科学省・国立教育政策研究所[令和8年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)](https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26summary.pdf)
読書に関する分析:p.73〜74/SNS・動画視聴等に関する分析:p.76 - 同[結果(概要)のポイント](https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26summary_point.pdf)
- 記事作成の参考:[共有のnote記事](https://note.com/fine_eel984/n/n3a2325176a61)